ホーホケキョ、ホーホケキョ、ケキョケキョケキョ・・・
ウグイスの鳴き声は、春が訪れるとよく耳にします。
日本三鳴鳥の中の1種で、山林に行けば、美しいさえずりはよく耳にするし、時には口笛で真似したくなります。
ホーホケキョは、春の訪れを知らせるものではなく、縄張り宣言の訪れだったのです。
さて、今回は、そんなウグイスの縄張り意識について解説します。
なわばり意識があるのは、オス
オスの縄張り意識が強くなるのは、繁殖期です。
ウグイスの繁殖期は、4月から9月頃まで続きます。
オスは、直径200mほどの範囲でさえずり(ホーホケキョ)を行い、自分の縄張り宣言と花嫁募集をします。
つまり、春になると聞こえてくる、あのさえずりは、他のオスへの縄張り宣言と、メスに対しての求愛行動になります。
一夫多妻のウグイス
ウグイスの社会は一夫多妻というオス1羽が複数のメスとつがいになる繁殖システムです。
さえずりで、メスがやってきてツガイ(カップル)になったと思うと、また別のメスを求めてさえずりを続けます。
こうしてオスは、6~7羽のメスとツガイになることがあります。要するに、1羽のオスのなわばりで6~7個くらいの巣が見つかります。
一夫多妻のウグイスのオスは子育てへの協力は一切しません。
造巣、抱卵、育雛は全てメスの仕事、オスの役割は、自分とつがいになったメスの巣(縄張り)を見回り、捕食者が近づくとケキョケキョ・・と、谷渡りと呼ばれる鳴き方で、けたたましく鳴いて、メスに警告します。
後はホーホケキョと囀り続け、他のオスを押しのけ、新しいメスを呼び寄せ、繁殖をしてもらい、自分の子孫をより多く残すという方法で繁殖しています。
ウグイスのオスメス(♂♀)の性比
ところで、疑問に思ったことがあります。
一夫多妻のウグイスであれば、当然、メスに性比が偏っていていいのではと、思いがちになりますよね。
しかし、性比はほとんど1:1だそうです。
つまり、メスは、同じオスの縄張り内で再度繁殖活動を行うか、移動して別のオスのところで繁殖活動をしています。
オスは一夫多妻だが、メスは次の繁殖の時は別の縄張りへ移ることもあります。
これも遺伝子の多様性を維持する戦略なのかもしれません。※賢い( ^ω^)・・・
そのため、一夫多妻のウグイスでも、オスメスの性比は、1:1になるということなのです。
鳴き声の種類
「ホーホケキョ」と鳴くのは、繁殖期のオスだけです。
警戒した時などや、捕食者が近くにいる場合は、『ケケケケ、ケキョケキョ、ケキョケキョケキョ……』とけたたましく鳴き続ける「谷渡り」と呼ばれる鳴き方をします。
これは、他のオスに対して「俺の縄張りに入るな」という強い警告や、ウグイスの捕食者である猛禽類(もうきんるい)や人などが近づいた時に危険が迫ったことを知らせる警戒音ともいわれます。
この警戒音が鳴っているときは、メスは、天敵がいなくなるまで自分の巣には戻りません。巣の場所を特定されない為です。
そして再び、『ホーホケキョ』とオスがさえずりを始めれば、メスは巣に戻り雛の世話を再開します。
縄張り内の約半分の巣は、捕食者によって雛が食べられてしまいますので、オスのさえずりは、とても重要です。
上記は、主に繁殖期のオスの鳴き声ですが、繁殖期以外の時期に『ホーホケキョ』と鳴くことはありません。秋冬は聞こえてこないわけです。
繁殖期以外は、地鳴き(普段の鳴き声)と呼ばれる、「チャッチャッ」という舌打ちのような声で鳴いています。
まとめ
春の訪れを感じさせてくれるウグイス。
平均寿命は8年と言われています。
春になっては、繁殖の為さえずりを始めて、繁殖が終わった秋冬は、ひっそりと住処に戻り春の訪れを待っています。
ホーホケキョ、ホーホケキョ、ケキョケキョケキョ・・・
と聞くと、のどかな春の訪れを感じますが、
実は、ウグイスの世界では、新たな子孫を増やすため、縄張り争いの真っ最中でありました。
人間にとっては、心地の良い音色ですが、ウグイスにとっては、自分の縄張り宣言や花嫁募集になっていたり、天敵への警告音になっていたりと、繁殖していくために必要なさえずりであることが分かりました。
もしかすると、人間にとって不快な音色と呼ばれる音は、他の動物には心地の良い音色もあるかもしれませんね。
他の動物の縄張り意識についても解説していますので、併せて読んでいただけますと幸いです。
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