ウナギは、主に川や湖などの淡水域で成長し、海で産卵する、「降河回遊魚(こうかかいゆうぎょ)」と呼ばれる魚です。
結論、
天然ウナギ=縄張り意識強い
養殖ウナギ=縄張り意識ほぼない
になります。
厳密に言うと、養殖ウナギも、天然ウナギの稚魚から養殖しますので、天然ウナギの部類になります。
天然ウナギも養殖ウナギも、同じ天然ウナギから育っているのに、育ちの過程で縄張り意識が大きく異なります。
では、なぜ縄張り意識に差がうまれるのでしょうか。
具体的に解説していきます。
天然ウナギと養殖ウナギの縄張り意識
天然ウナギの縄張り意識
天然のウナギは、主に海で生まれます。
海といっても、水深300~500mの中層で、産卵をします。※二ホンウナギの場合は、フィリピン近海付近で産卵をします。
そのあと、餌を求め餌が豊富な、川や湖などの淡水域で成長します。
産卵の時期になると、また海に戻り産卵します。
ウナギは遥々遠くの海から、私たちの近くの川や湖までやってきます。
そのため、過酷な環境で育ってきていますので、縄張り意識も強いです。
餌を求めて、川や湖にやってきていますので、餌が豊富な場所にたどり着くことが出来れば、そこを住処とし、縄張りにします。
外敵が縄張りに入ってくれば、容赦なく争います。
主な攻撃は、噛み付いて外敵を追い払います。
ある程度成長してからは、エビやカニ、貝、昆虫などの小動物や、大きな動物の死肉まで貪欲に食べる、幅広い食性を備えた肉食魚であることも、ウナギの特徴です。
また、餌が足りなくなれば、共食いをするほど、貪欲です。
養殖ウナギの縄張り意識
養殖ウナギといっても、卵から成魚になるまで養殖することは非常に難しいそうです。
そのため、海から川にやってくる、天然ウナギの稚魚である「シラスウナギ」を採取して養殖池の中で育てて養殖します。
前述したように、天然ウナギは、過酷な環境下で成長していくわけですので、縄張り意識が非常に強いです。
しかし、養殖ウナギは、養殖池の中に入れば縄張り意識がほとんどなくなります。
縄張り意識があるのは、稚魚や幼魚の時期までで、成長すると、縄張り意識は見られなくなります。
理由としては、人工的な環境に慣れ、毎日安定的な餌がもらえると分かったからです。
そのため、縄張り意識が強いウナギですが、養殖池のように大量のウナギがいるなかでも、縄張り意識が発動することなく暮らしていけるわけです。
養殖ウナギの放流
近年、ウナギは、滅危惧種に指定されるほど数が減っています。
そのため、養殖ウナギを川などに放流して、数の減少を食い止めようとしていますが、自然界に投げ出されても、自分では生きていけず、天然のウナギや外敵に食べられるか殺されます。
つまり、養殖を経験してしまったウナギは、縄張り意識がなくなってしまうのです。
まとめ
もしかすると、近い将来、ウナギが食卓から消えるかもしれません。
天然ウナギ自体が減っていますので、養殖で数を維持するしかありません。
が、ウナギの養殖は、まだ、完全養殖(卵から成魚まで養殖すること)が実現できていません。
今後もおいしくウナギを食べていくために、ウナギの数を減らさないためには、以下2点のどちらかが、必要でしょうか。
①完全養殖を成功させる。
②養殖中でも縄張り意識を維持させ、川に放流しても天然ウナギや外敵に負けない、縄張り意識を持たせること。※現状、放流されたウナギの大半は、縄張り意識が無い為、天然ウナギや外敵に、食べられるか殺されるからです。
もしかしたら、縄張り意識が、ウナギを絶滅から救えるかもしれません。
縄張り意識について、そのほかの生物についてもまとめていますので、ご覧いただけますと幸いです。
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